怒りの心理
私達はどういった時に怒りを感じるのでしょうか。
怒りによって夫婦が、親子が、兄弟が、友人が、同僚が、仲間が傷つき離れていく悲しみがある。
怒りは多くの大切なものを失わせてしまいます。
私達は、いきなり怒れと言われても怒ることはできないものです。
人間がある感情という意識を抱える時には、かならずそれを引き起こした引き金があります。
人間の怒りの心理を探る際には、まずその怒りを引き起こす引き金について考えていくことが大切となります。私達が怒りを感じる時の代表的な例が『自分を否定された時』です。
では『自分を否定された時』とはどのような時でしょうか。そのひとつは、行動ではなく人格を否定された時です。
例えば、会社に遅刻をしたり仕事でミスをして、上司から注意をされるだけであれば、それは行動を指摘されただけになりますが、「お前はダメなやつだ。」「会社に必要がない人間だ。」と言われれば、それは人格を否定されたことになります。
行動と人格への指摘は違います。例え行動が間違ったとしてもそれは人格の否定にはつながりません。もし人格を否定されてしまえば、その人は、自分が優れた人間であるか、出来の悪い人間であるか二者択一を迫られてしまうことになります。
そして、自分をダメな奴だと思い落ち込んでしまうか、「そんなことはない!」と反発してしまうかのどちらかとなってしまうでしょう。人格への良し悪しという白黒は否定へつながることになるのです。
また、女性がアドバイスをしたことで男性が『自分を否定された』と思いこみ、怒りに変わってしまうこともあります。
これは恋人同士のトラブル、夫婦間のトラブルにおいて非常に多いので、ぜひとも覚えておいて欲しいのですが、人間は『わかっていることをアドバイスされる』と自分を否定されたと思いこんでしまう傾向があります。
この様な背景には『同等』や『相手が下』の意識が傾向としてあるからでもあります。あるいは自分が上だという意識がある人が相手から言われた場合も怒りに変わりやすい。
しかし、このような意識は自我にほかならいということも知っておかなければならいことです。
女性の多くは恋人・夫に対し、愛する人だからこそもっと成長してほしい、魅力ある人間になって欲しいと願うもののようです。そしてその要求はふたりが親密になればなるほど大きくなっていきます。
相手の大きくなった要求が怒りや破壊につながる場合も多いのです。
例えば、子どものいる家庭で、夫が休日にゴロゴロしている時、妻が「お父さんなんだからもっと子どもの前ではしっかりして。」とか「子どもの健康のためにタバコを吸わないで。」と言ってしまうことがある。
しかし、そういう時、その男性はそのことをすでに頭の中ではわかっていることも多いのですね。女性からアドバイスされ、男性がカチンときてしまう。わかっているけれどもどう対処してよいのかわからない、わかっているけれども冷静にすることができない。
頭ではわかっている時に他人からわかっていることを言われてしまうと男性は自分自身を見下されたと思いこみ、それが怒りに変わってしまうことも少なくないのです。
この辺の男性心理を知っておくことも大切です。こういう時、女性側には悪気はありません。
むしろ私は、女性側は正しい事を言っていると感じます。しかし、いくら正しい事を言ったとしてもそれが相手に正しく伝わるとは限りません。
女性が男性にアドバイスをする時は、工夫が必要です。賢くこなす方法としては男性に対し、命令形ではなく、お願いするような、一歩、謙虚な言葉遣いすると効果は大きいでしょう。
またはある程度の信頼をよせて待つことも大切でしょう。しかし例え、人格を否定されても、また、すでにわかっていることをアドバイスされても、まったく怒らない男性もいれば、怒る男性もいます。
その違いはいったいなんなのでしょう?それが自我です。
心は一つの器です。器の大きさやその特性は個人差があります。
怒りは自身の理性を最大限働かせて冷静に行動する間が必要です。
しかし、怒りを相手のせいにしているうちは自我心が改善されていないことになります。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません