心の洗浄剤・大人の涙
若し ひと おのれを愛すべきものと知らば
謹みて おのれを調えべし
心あるものは
他を愛すべし
泣けるには他の理解がほしい
相談者の内情は様々で、人それぞれに悩みを抱えておいでになります。
身体の健康状態に関する悩み、薬の副作用に苦しむ人たちの悩み、うつ病、パニック障害、過呼吸、家庭内の親子関係における悩み、夫婦間の悩み、嫁姑問題の相談、子どもの不登校、育児ノイローゼ、等々、数え上げればきりがないほど多くの問題がある。
そして相談者の殆どの方がよく泣きます。そして別人の如く明るい顔をして帰られる。
相談者に「心療内科に行かれた時もこのように泣けましたか?」と、問いかけると決まって「いいえ」と、答えます。
当然と言えば当然かもしれない。何故なら、心療内科は症状に関することは聞いてくれますが、人生相談の場所ではないからだ。
しかし、現実には心の奥に溜め込んだこれまでの苦悩を根本的に解放してあげない限り、心療内科や精神科で対応するような症状が改善されることはない。
このことはこれまで相談に見えた、心を病んでいる多くの人たちの発症から現在までの数か月、数年間、あるいは十数年間の変化がない、あるいは悪化している症状の経過を聴くことで確認できたことである。
人間は、悲しい時、辛い時、うれしい時、あらゆる感情が抑えきれなくなった時、その感情が形となってあふれ出てくるのが「涙」です。
私たちは涙によって、胸の内に抱えきれなくなった感情を表に解き放ち、心のバランスを図っているといっても過言ではありません。
実は、泣くことは医学的に言っても、睡眠や笑うこと以上にストレス解消に効果的だと証明されており、たった一粒流すだけで、一週間ストレス解消が続くとも言われているほど涙は絶大な解放のパワーを持つ。
医学的に証明された涙の効用
連日の残業でたまる一方の疲労、難しい人間関係、会社にいるとストレスはつきもの。
思いっきり笑うことはストレス解消になるというが、じつは、思いっきり泣くことでも娯楽、飲酒以上にストレスは解消されるのだ。
ただし“ある種の涙”に限られるのだが……。
泣いたらすっきりする?
涙を流したら、泣いたあとで気分がすっきりした――。誰でも一度は経験があるだろう。これにはちゃんとわけがある。
今回はこの「涙」をクローズアップしてみた。
「涙――人はなぜ泣くのか」(石井清子訳 日本教文社1990年刊)の著者である、アメリカのウィリアム・H・フレイ博士は、1985年に涙の研究で注目された。
博士の研究によると涙の種類は3つある。
(1)基礎分泌による涙(2)刺激による涙(3)感情による涙 。
そして基礎分泌による涙や刺激による涙と、感情による涙の成分には違いがあることを発表した。
博士は、タマネギを切ったときに出た涙と、映画に感動して出た涙を分析して、成分の違いを比較した。
すると、映画に感動して出た涙、つまり感情による涙からは、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が検出された。
このACTH(副腎皮質刺激ホルモン)は、ストレス反応として分泌されたホルモンなので、泣くことで体の外へ涙と一緒にストレスが出て行っているということになる。
これを検証するため、東京女子医科大学では、涙を流す前と後での、血液中のストレスホルモンの測定した。
すると、涙を流した後ではACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が減少していたそうです。
感情の涙を流すと、ストレスが去り、すっきりするというわけである。
涙を我慢すると体に悪い
40代のキャリアウーマンAさん、仕事に徹して頑張っていたが、うつ状態になって相談に見えた。
責任ある立場で結果も出し、期待に応えてきたのだが、慣れない新天地での中傷、批判に耐え泣くこともできず、心療内科でも薬の処方だけで光りが見えない生活に疲労困憊しっていたのである。
私は彼女の抱えている職場での諸問題を一時間ほど聞くことに徹した。すべて洗いざらい打ち明けてくれたことで私もアドバイスがしやすい。
これまでどれほど一人で孤独に耐えて頑張ってきたのだろうか、この一時間、彼女は涙を何度もこぼし、目を腫らしながら話ししてくれた。
さらに一時間の会話によって彼女の目は本来の輝きを取り戻していた。
理解を得た喜びと同時にこれまでの努力に対する正当な評価を得て心に勇気が持てたのであろう。
涙が心を軽くしてくれたのである。
さて、赤ちゃんは泣くのが仕事だ。泣くことが意思の伝達方法なのだから、赤ちゃんは欲求と同時にストレスを発散させるために泣いているという。
ストレス発散のために泣いている赤ちゃんの対処方法は、成長に影響があるともいわれています。
たとえば、泣いている赤ちゃんを、うるさい! と放っておくと、親から離れている不安感から、人を信用できない臆病な子になるという学説があります。
また、無理やり泣きやませても、将来は人をいじめたりする子になる危険性もあるのだそうだ。
赤ちゃんが泣いたら、やさしく抱きしめて、泣きたいだけ泣かせてやるのがいいらしい。
大人でも泣くのを我慢すると弊害がある。
せっかく出て行こうとしているストレスホルモンを体に留めておくことになるので、ストレス性の病気になる可能性がある。
うつ病患者や、深刻な育児放棄をうけた子どもは、健康な人より涙を流さないともいわれています。
涙を流さないからストレスが内側に貯まって精神に悪影響をもたらしていることもある。
また涙を抑え込んで泣かないことは、肉体的にも悪影響があるようだ。
泣くのを我慢していると、体の上半身をこわばらせている状態になるので、肩こりがひどくなったり、疲れやすくなったりすることもあるという。
また、ストレスは脳にもよくない。
長期的にみると、何十億もの脳細胞を破壊していくことにもなりかねないという。
涙を流すことは、脳の老化予防にもなる。
だから、うれしいときも悲しいときも、泣きたいときに泣くのは、精神バランスを保つことにもつながり、若々しくいきいきと生きていく秘訣かもしれない。
ストレス社会の大人たちよ、泣こう
巷には“癒し”といわれる多くのスポットがある。
人の手で緊張をほぐすマッサージやアロマ、体を動かしてリラックスするエクササイズなどだが、それも有効な手段ではあるとしても、心のケアや心の学習をしなければ改善できないような蓄積した精神疲労というものもあります。
精神分析医のローエンは、著書「ナルシシズムという病い」(1983年刊)のなかで次のようにいっている。
「泣くこと、すすり泣くことは、緊張を解放するいちばんの早道であり、もっとも深い方法である。体のなかに緊張状態を生み出すストレスは、泣くことによってことごとく発散させる必要がある。マッサージやエクササイズを通じて緊張の鎧(よろい)を取り除くことができるが、もっとも深い効果を発揮するのはマッサージやエクササイズではなく、泣くという行為である」と。
疲れたなぁ、精神的にきついなぁと感じたら、感動する映画を観たり本を読んだりして、おおいに泣くこともよいだろうが、もっと重要なことは、日頃からストレスを上手にやり過ごせるような心づくりが大切である。
※お知らせ。
※これまで2011年10月から2年間弱、一日おきに記事を投稿してきましたが、仕事と奉仕活動としてのカウンセリングで毎日が忙しく、さらにメールでのお問い合わせやご相談にも時間を割いてきましたが、最近は記事を書く時間が取れにくい状態にあります。
つきましては、26年1月からは初回が1月6日(月)週に一度のサイクルで毎週月曜日にアップする予定でおります。
いつも楽しみにして、毎日このブログを訪問してくださっている数百名の方々には申し訳なくも、本当に心から感謝を申し上げます。
記事投稿の頻度が少なくはなりますが今後も訪問をお待ちしております。
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