自分の生き方

逆境を生きるために

『禍福は糾える縄の如し』(かふくはあざなえるなわのごとし)

禍(わざわい)と良いことは縄をなうときのように交互にやってくるものだという意味です。

誰もが経験していることでしょうが「こういう生き方をしたい」とは思っても、なかなかすぐにはできないことが多いものです。

だからと言って、自分の生き方を善くしていく努力をしないで、今の自分の生き方を卑下したり、否定したりすることはよくない。

「自分の生き方はこれでいい」と思えるように、少しずつ長く努力していくことが大切だ。

ただ実際のところ『これでいい』にはそれぞれの立場や環境、条件によって違いがあるのは当然のことです。

他人の環境や状況と比較して自分はどうのこうと悩んでしまうと『これでいい』ということにはならない。

このような相対的な見方は必ず嫉妬や羨望(せんぼう)の心を作り出すから改めることです。

今の自分の生き方は、現実に則して時間をかけてつくってきたものですから、自分にとって「それなりにいい」ところもあるはずです。

欲を言ったらキリがありません。自分の理想とは違うからと、現実的に無理なことを自分に要求しても自分を苦しめるだけで、間違えると失望や挫折、無気力にもなりかねない。

「今の自分の生き方は、これで(それなりに)いい」と思えれば、その中で生活を愉しむ工夫もできるものです。

今の生活の中で、小さな何かを変えていくことはできるはずです。

他人と比較しない生き方は自分を強くさせます。

もう一つは、自分が望む方向に生き方を変えていくことです。

すぐには変えられないかもしれませんが、自分の生き方を変えられる機会は時折あると思います。

そういうチャンスを見逃したり、迷っているうちに見過ごしてしまわないようにできたら、と思います。

心が冷静さを見失うと先ず状況判断ができにくくなります。

そうなれば大切なことに気づかなかったり、見逃したり、せっかくのチャンスをも失うことになってしまいます。

自分のことだけでなく、対人関係においても、相手に変わることを望んでいるうちは解決できない問題が、自分が気づき変わることで好転してしまうことが多いものです。

こうしてみると自分次第という言葉の持つ意味が明瞭になってきますね。

「今の生き方もいいけど、チャンスがあれば生き方を変えてみるのもいいのではないか」と考えられたら、またそれもいいでしょう。

いちばん大事なのは、「自分の生き方はこれでいい」と言えるように努力することです。

今の生活を善くする努力もしないで、自分の生き方を否定するのはよくありません。

今の生活の中で少しずつでも幸せを感じられるようになれば、「今の生き方はそれなりにいい」と思えるようになれるでしょう。

「自分の生き方はこれでいい」というのは、決してエゴイスト的な生き方をいうではありません。

同じ「自分の生き方はこれでいい」でも内容はまったく違います。

やはり正しい生き方は精神的に偏りのないバランスのとれた状態であることが基本です。

そのうえで「自分の生き方はこれでいい」と思えるようになると、かえって、いろんな生き方を選択できるようになるものです。

こうなると、いろんな展開が可能となってきます。

幸運は豪華なプレゼントであるが、逆境は最も偉大な教師。

自分の意思の力と努力で結果が見えないときは、好機の到来を待つことが必要なときです。

文中用語の説明

※相対的な見方(他との比較すること)※羨望(せんぼう、人のことをうらやましく思うこと)※禍福(喜ばしくないことと良いこと)