減薬、断薬が最大の薬

うつ病で朝の起床が辛い、家族のために食事の支度をする気になれない、掃除をする気になれない、人に会いたくない、スーパーに買い物に行くのがおっくうだ、感動がない、テレビを見たくない、無味乾燥で気持ちが沈む、等々の症状を訴える方の話を聞かせていただいた。
5年前から発症して現在まで心療内科に通院。抗うつ薬、睡眠導入剤、安定剤の3種類の薬を服用している。本人いわく全く改善がみられないため病院を複数回変えてみても薬を変えるだけで症状の好転はないとのこと。

心療内科での先生の対応と内容を確認させていただきましたが、『最初は10分ほどの時間でした』とのこと。次回からは症状を聞いて薬を処方するという流れで5分かからないという。

患者さんの深層心理まで把握することを考えれば時間的な不足は否定できない。30分とか1時間とかカウンセラーの常駐する心療内科も存在するが少ないし受けるとなると患者さんの経済的負担が大きくなかなか難しいのが現状でもある。

闘病生活が長引けば他院を訪ねてみたい患者さんの気持ちも十分理解できます。他者の意見を聞くという意味ではセカンドオピニオンという選択肢もある。しかし、今回のようなケースはドクターショッピングといえるかもしれない。病院を何件もはしごして渡り歩くことを言う業界用語です。

うつ病に苦しんでいる方のお話を聞いていますと、ネガティブ(消極的)、過去にこだわる、物事にこだわる、先を心配しすぎる、愚痴をいう、自分を卑下(自分は劣ったもの)する、全部ではないにしてもこのような共通性もあります。
うつ病になるきっかけは種々あります。最愛の人を失ったとか、仕事のストレスとか、人間関係のこじれとか、みな生きる過程の中で起こりえることです。しかし、原因はそれではない。このようなことは発症のきっかけであって根本的原因はその人の心の深層部分にある傾向性だと捉えています。
自分の傾向性(心の習慣、癖)を知り受け入れて認め自分の努力で軌道修正をしていく方は回復に向かっていきます。
薬で治るものという考えは依存的な思考性が強く根本的改善の妨げになっています。徐々に薬を減らし卒業できるように決心することが最大の薬となることに気づいていただきたいものです。
今回のカウンセリングは90分のカウンセリングでした。当初は沈んでいた目の表情も輝きを見せて、お顔も微笑みオーラが変化していました。継続して来院することを約束して1時間の道のりを運転して帰途についた姿を見送りました。
心から回復を願って。      傾向性は根っこ