見返りを求めるならやめなさい。

『何の挨拶もなし』、『お礼の形もない』と不満をあらわに批判している言葉を聞いたことがある。

私たち人間の『心』はみな肉体をまとって生まれてきます。

また、いろいろな動物がいますが、知性と理性という心をもっているのは人間だけです。

知性は学ぶことで高まるし、理性は内面性を高めることで感情的になる心を冷静にしてくれる働きをします。

人間は心を持っているが故に、喜びもすれば、悲しみ、苦しみもします。

この苦しみを「煩悩」とも呼びます。

人を嫌う気持ちや嫉妬、怒りといった嫌な心が自分の胸のなかにあり、メラメラと燃えているのである。

煩悩の数は三千あるとされています。三千とは無限という意味を持っています。

無限の煩悩の炎がメラメラと心のなかに燃えているわけですから苦しいはずです。

燃えると灰もススも溜まりますから心が曇ります。

心が曇った分だけ周りが見えなくなります。

この苦しみから逃れるには、どうすればいいのか。

それは「いいことをして、悪いことはしない」に尽きる。

そんなこと当たり前だとおもうでしょう。そうです、こんなことは幼い子どもでも知っています。

ところが、3歳の子どもでも知っているようなことが、70歳80歳になってもできない。

煩悩の炎を抑えることができない。これが「人間」というものであり業の姿です。

私のもとには多くの相談者が訪ねてきたり、問い合わせをしてきます。

内容はさまざまですが、多くの悩みの根本にあるのは「自分はこれだけがんばったのに、それに相応しい見返りをもらっていない」という気持ちです。

「子どものことを最優先にしてきて、やっと一人前になったと思ったら若い彼女の言いなりで情けない」という親。

「夫の両親と20年以上も同居して、嫁として我慢ばかりさせられてきたけど感謝の言葉ひとつない」と苦しい心を打ち明けた後に、「いったい私は何をしてきたんでしょう」と囗を揃えて言うのである。

まさに煩悩の炎がメラメラと燃えている状態です。

そんな時、私は「見返りを求めるぐらいなら、やってあげるのをやめなさい」と答えます。

「自分の愛を受け入れてほしい」と言いながら実は愛を求めている。

「自分の がんばりを認めてほしい」

厳しいかも知れないが「これだけのことをした自分に報いてほしい」という気持ちは、自己愛です。

自分中心の愛の押しつけで、愛を求める自分であって、本当に相手のことを思っているわけではないのである。

本当の愛とは、相手が欲しているものを与え、欲しないものは与えないことです。

つまり、自分が欲することを相手に施す、尽くす、与えるということです。

自分が欲していることは、大抵は相手も欲しているものである。

これも言うのは簡単ですが、なかなかできないものです。

なぜなら人間は常に自分の利益を中心に物事を考えがちだからだ。

嫉妬も大きな煩悩です。

あなたも、仕事に恋愛に、あるいは育児にと、夫として、妻として、あるいは父として、母として、とても忙しい毎日を過ごしていることでしょう。

すべてをちゃんとこなしたいと、一生懸命がんばっている人も多いと思います。

それなのに相手が認めてくれないという気持ちが膨らんでくる。

そうなると不満や愚痴や怒り、嫉妬、恨みなどのドグマ(独断、偏見)が心を支配し出すのです。

心がある限り煩悩は消えてなくなることはないだろうが、しかし、心を「飼い慣らす」ことはできます。

小さな気付きを生活に活かし、継続的に実践することである。

「人はなぜ生きていかねばならないのでしょう」と尋ねられれば、私は「愛するためにです。」と答えます。

そして更に、人類の最終目的は『魂の向上と地上平和の建設です。』といいます。

人間は魂の向上と地上の楽園建設を目的に生き、そして、愛から許すことや許されることに気づかされるのです。

愛するために生まれてくるのです。

人生の根本は「愛」です。

そして「愛」とは何かといえば、相手の心を思いやること。

想像力も必要です。

想像力は水や肥料をやらなければ育ちません。

水や肥料とは、本や音楽など文化といわれるものや、さまざまな教育を受け学ぶこと。

しかし、知識偏重主義に陥ってはならない。そうなると温かみのない冷たい人間になるからだ。

意識することで、誰でも想像力を自分で育てることができます。

しかし、最も重要なことは、行うこと、体験すること、失敗することです。

それが人間の心を豊かにしてくれるのです。

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