節度・協調を持って
戦後68年、日本の経済は鉄鋼、造船、自動車、電化製品などを中心に、異常なまでの発展を遂げてきました。
その成長率はたしかに、世界の注目に値したでしょう。
しかし天井知らずの高度成長は、日本の国土をいびつにする勢いであり、産業優先の経済政策には、人間を海に追い落す役目を果たしているかのような錯覚すら感じられました。
政府も、産業人も、時の流れを忘れ、高度成長に酔っていたかのようでした。
ニクソン声明(金とドル紙幣の交換停止は世界経済に多大な影響を及ぼした経済政策)は晴天の霹靂(へきれき)だったからです。
予測されていたとはいえ、株式市場は、その驚きをうつして戦後最大の暴落を演じています。
ドルショックの名にふさわしい仰天ぶりでありました。
アメリカの不況の第一は、ベトナム戦争による膨大な出費に原因があり、日本の好況は、その間隙をぬった利益追求の経済競争にあったといえるでしょう。
当然、その反作用はいつの日か訪れてくるものでした。
ニクソン大統領は、まず中共に手をのばし、戦争終結の希望を託し、次いで、大国のメンツをかなぐり捨てる声明となり、声明が出た途端に、我が国の高度成長にブレーキがかかりました。
いずれこうなるであろうことはわかっていたことではあろうが、しかし、誰かが荒療治しなければ、アメリカも、日本も、それこそ本当の大恐慌の洗礼をうけなければならなかったでしょう。
なんでもそうですが、出る杭はうたれるのです。
出すぎても、引っこんでも反作用はついてまわります。
日本の経済は、近年まですさまじいといっていいほどの伸びでありました。
明治以後の経済事情として、こんな経験は初めてでした。
しかしそうした成長のかけ声の陰では、公害は都市ばかりではなく、農村や山間部、そして海にまではびこり、その自然破壊は、人間生活の安否にまで発展してきたのです。
近年の中国内の政情をみると強硬姿勢をとることで、近隣の国々と摩擦を起こしているし、先日はまた、一方的な防空識別圏を新たに設定して、日本だけではなく、韓国やアメリカも反発し、世界的な問題となりました。
対話の外交を呼び掛けたかと思うと、次々と新たな問題を勃発して相互利益を失うような宣言をしているのは残念なことである。
国内の風俗習慣にしても、糸の切れた凧(タコ)のように、あてのない空間をさまよっています。
いったいその原因は何でしょう。
いうまでもなくそれは人間の自我心であります。
人間は悲しきかな、宗教などで心を学んでいながらも、相手の立場を考えず、自分の都合だけで物を言い、相手の心をグサッと突き刺す人もいるのであるが、そしてその事に気づいていないのである。
そして他人だけでなく、そういった心が原因で、自分の子どもまでもダメにしてしまっていることにさえ気づけないでいることは悲しいことである。
他人事だと思ってはなりません。自分の心と言動を点検していただきたい。
こういうことは、執念にも等しい自己保存(自己中心)と、競争意識が、個人にも集団にも作用しているからにほかなりません。
高校や大学の殺人的入試ひとつとりあげても、その事実がはっきりと現われています。
かつて、日本の高度経済成長の骨格は、こうした自己保存という自我にもとづいた無秩序、無節操な経済競争にその原因がみられるようです。
個人でも集団でも、節度、協調、勇気、平等、感謝報恩、そして慈悲、愛という心を失うと、家庭も社会も分解します。
なぜなら、自然はそうした法則の下に運行しており、人間だけがこの例外ではないからです。
人間の社会をより円滑に、健やかに、豊かに永続的に発展させるためには、節度、協調といった、偏りのない、中道の心を尺度とした、助け合う環境をつくることがまず必要でしょう。
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