精神医療・言葉を奪われた青年

私はこれまで、うつ病患者、パニック障害、発達障害、統合失調症、不登校、いじめにあった子供たちに接して相談を受けてきた。
そのなかでも、うつ病、パニック障害と診断されて向精神薬を多種、多量に服用していた人たちと話し合い、減薬から断薬までアドバイスして自分を取り戻した人たちがいます。
もう20年以上も前からこのことを奨めてきましたが、現在もこの姿勢は変わりません。
きょうは、精神医療ルネサンスからの転載でドキュメントをアップしましたが、皆様にも精神医療現場の実態とその問題、間違いを知っていただければと思うところです。
 
以下。
20121125
「精神医療ルネサンス・言葉を奪われた青年」から転載させていただきました。
治療するたび状態悪化 2012年10月30日、関東地方の大学病院。精神科病棟に入院中のタクヤさん(仮名)と対面した時、私はここ数年の精神科取材で何度も体験した憤りとやり切れなさに再び襲われた。
タクヤさんは26歳。言葉を話せない。先天的な障害ではなく、深刻な頭部外傷を負ったわけでもない。
以前は家族や友人ともふつうに話していた。
精神科病院で「統合失調症」と診断され、多剤大量投薬と電気ショック(電気けいれん療法)23回を受けるまでは。
2008年暮れ、私は朝刊連載・医療ルネサンスで統合失調症の深刻な誤診問題を取り上げた。
以来、精神科で治療を受ければ受けるほど、状態が悪化した若者たちを数多く取材した。
なぜこんなことになるのか。主治医たちの言い分は決まっている。
「統合失調症が進み、重症化した」。すべて「患者の症状」のせいなのだ。
こうした主治医が、自らの診断や治療を見直すことはない。
患者や家族が疑問をぶつけると、意地になって自分の方針に固執したり、逆切れや開き直りを始めたりする。
そして最後は、こうオチをつける。「嫌なら出て行け!」
精神科の無責任でいいかげんな「治療」が、重度の障害者を次々と作り出しているのではないか。
そうした疑念は強まるばかりだ。
そしてまた、タクヤさんという新たなケースに出会ってしまった。
タクヤさんは病棟スタッフに連れられ、面会室に歩いてやって来た。
年齢よりも幼く見えるかわいらしい顔立ちで、やさしい目をしている。
身長はすらりと高く、健康に暮らせば女性にもてるタイプだろう。だが今は、左の鼻の穴に挿入された管が痛々しい。
もうずっと食事を摂れず、鼻から栄養を補給しているのだ。
長期服薬の影響で、肩や首が前傾気味になっている。
タクヤさん(仮名)は幼少期、体が弱く、よく熱を出していた。
「上の2人の子と比べるとあまり笑わず、いつも不安そうな顔をしていた」と母親は振り返る。
言葉の発育が遅れ気味で、カ行がうまく言えず、「ばか」が「ばた」になったり、「ぼく」が「ぼち」になったりした。
1人遊びが多く、同世代の子どもの輪に加わろうとはしなかった。5歳の時、自分から「サッカーやりたい」と言い出し、チームに入った。
「急に生き生きとし始めて、練習から帰って来ると顔が輝いていた。
試合でも楽しそうに動き回っていました。やっと子どもらしくなったと感じて、私もうれしかった」。
ところが8歳の時、コーチが替わって勝つことが優先されるようになると、状況が一変した。
タクヤさんはコーチに期待され、厳しい指導を受けるようになった。
ある試合中、コーチはタクヤさんに次々と指示を飛ばした。
タクヤさんは急に動けなくなり、しばらくその場に立ちすくんだ。
「もうやめたい」。度々漏らすようになったが、サッカーを通して成長することを期待した父親が引き留めた。
だが、試合前になると体調不良を訴えることが増え、練習でも生き生きとした表情が消えた。10歳でサッカーをやめた。
「クラスの人たちがこそこそ悪口を言っている気がする」。そう言い始めたのは14歳の時。
親しい友人が家に来ても居留守をつかった。
いじめられていたわけではなく、「僕、頭がおかしくなっちゃったのかな」と自分でも不思議がった。
少しすると被害妄想的な言動は消えたが、今度は宿題を一切やらなくなった。
高校受験を控えた三者面談。担任教諭は「入れる高校がない。宿題がずっと滞っているから内申点が足りない」と告げた。
その晩、タクヤさんは自宅のイスに座ったまま長時間動かなくなった。
翌日以降も中学は休まず通ったが、帰宅するとイスに座りっぱなしになったり、1点を見詰めたまま立ち続けたりするようになった。
食事をほとんど摂らなくなり、1か月で体重が15キロ減った。
小児科に3週間入院し、点滴で栄養を補いながら少しずつ食べる練習をした。
手を何時間も洗い続ける、深夜に泣きながら家中を歩き回る、服を脱いだり着たりを繰り返す、布団に入ったり出たりを繰り返す、シャワーを何時間も浴び続ける……。
決まった動作を繰り返す常同行動が顕著になった。
常同行動は、精神科では統合失調症の一症状などとして扱われてきたが、自閉症の人にも現れやすく、知的障害のないアスペルガー障害(アスペルガー症候群)の人が、強いストレス下で同様の状態に陥ることも知られるようになった
だが、発達障害の知識を持つ精神科医は依然として少なく、子どもの常同行動をすぐに「(初期や前駆段階の)統合失調症」と決めつけ、対応を誤るケースが後を絶たない。
タクヤさんの常同行動は、母親たちが体を押さえても止まらなかった。
一晩中、体力が尽きるまで家の中を歩き続けたり、立ち続けたりした。
心配した母親は、15歳のタクヤさんを精神科病院に連れて行った。即入院になった。
被害妄想や幻聴は表れていなかったが、主治医は「幻聴は間違いなくある。幻聴から脅されていて言えないんだ」と、まさに精神科医らしい妄想的、ご都合主義的な決めつけをし、「統合失調症」と診断した。
さらに主治医は「肉親に会うと帰りたがるので、しばらく面会に来ないでください」と母親に伝えた。
1か月後、2分間だけ面会が許された。タクヤさんは保護室で全身を拘束され、導尿もされてベッドに横たわっていた。
母親の顔を見るなり泣き叫んだ。
「これは虐待ではないか」。母親がそう感じたのも無理はない。
タクヤさんは自分や他人を傷つけたわけではなく、同じ行動を家で繰り返していただけなのだ。
主治医は、常同行動が起こった背景には無関心で、ただ動きを強制的に止めるため、体の自由を奪って導尿まで行った。
こころを扱う精神科でありながら、思春期の複雑なこころには目を向けず、ズタズタに切り裂いたのだ。
「今すぐ退院させたい」。母親は焦ったが、自宅に連れ帰っても、また常同行動を繰り返す可能性が高い息子にきちんと対応できる自信はなかった。
ほかに相談するあてもなく、結局は病院を信じるしかなかった。
2012年夏、大学病院に再入院した。
主治医と共にタクヤさんを診ることになった精神科教授は「統合失調症なのか発達障害なのか、判断がたいへん難しいケースだが、薬は可能な限り少なくしていきたい」と話す。
同病院では、抗精神病薬のエビリファイとリスパダール、抗うつ薬のパキシルなどを使ってきたが、11月に入り、リスパダールの減薬を始めている。
長年にわたり相当量の薬が投与され続けたため、減薬中に症状が強まる恐れもあるが、単純に「症状悪化」と決めつけず、薬をうまく使い分けながら慎重に判断する必要がある。
減薬が順調に進み、状態が安定すれば「言葉が戻る可能性はある」と精神科教授はみる。
タクヤさんは一体何病なのか。専門家でも意見が分かれるだろうが、重症に至った原因を「病気の進行」だけで片づけてはならない。
ここまで悪くなったのは、不適切な治療が原因ではないか、そうした検証が欠かせない。
1種類の使用が原則の抗精神病薬が5種類、依存性のあるベンゾ系薬剤が3種類、そして薬の副作用として現れるパーキンソン症状を抑える薬が3種類……。
これは患者を治すためではなく、潰すための投薬ではないのか。
日本の精神医療の異常さに、身の毛がよだつ。
2週間後、二度目の面会時には拘束は解かれていた。だが代わりに、鎮静目的で多量の向精神薬が投与されていた。
タクヤさんの首は激しく前傾し、顎が胸についていた。
両腕が震え、何かを持とうとしてもつかめない。
両脇を支えないと立てず、すり足で歩幅が小さい小刻み歩行になっていた。
ヨダレがダラダラと流れ落ちる口を必死に動かし、同じ言葉を繰り返した。
「死にたい」「死にたい」「死にたい」「死にたい」「死にたい」
壮絶なドキュメント
個人的には、記事をみる限りはどうみても医学的には発達障害で、どのへんが統合失調症なのか疑問ですが、時折統合失調症に特徴的な症状が前景に出ず全体的にレベルダウンする場合もあるので何とも言えません。
常同行為(同じことを繰り返す)やカタトニア(緊張症)などがあるところからは発達障害っぽいですが、しかし現実的には、統合失調症なのか発達障害なのか分からないケースがホントに多いので、注意は必要です。
それほどまでに、発達障害への理解が進んできたとも言えますし、統合失調症を早期に発見できるようになったとも言えます。
ただ大事なことは何かというと、前医の診断を鵜呑みにしないこと、これに尽きるでしょう。
薬が入ってしまうと著明な症状は出ないので、悩ましいところではありますが、前医からもらうのは詳細な情報だけでいいんじゃないかと思うのです。
確かに精神科医というのは往々にしてそれぞれに得意分野があって、それに応じた対応をしてしまいがちです。
一時的にでも薬が必要なのに心理療法で何とかしようとしたり、逆に心理療法だけで何とかなるのに薬だけでどうにかしてしまおうとしたり。
体重が65キロの30代男性と同じように体重が40キロに満たない老人にも同じ多種類、多量の処方箋をだして、食事の量ほどの薬の量によって一気に症状が悪化して体がブルブルと震えるといったケースを何度もみてきている。
医学的には震顫(しんせん)と表現されますが、その震えを抑制するためにまた更に薬が追加されるという悪循環がある。
つまり、薬の副作用を抑えるための薬を服用させるといういたちごっこが繰り返されるのです。
診断も同様で、能力のない精神科医が開業していて、適当な診察で診断を下してしまうと、何だか分からなくなってしまい、事の本質を見失い、その診断名だけが一人歩きしてしまうと最悪です。
この症例も普通に考えれば、まず疑うべきは発達障害であって、むしろ統合失調症が隠されている可能性を考えて、少しでも手がかりをみつけようと詳細を聞いてから、抗精神病薬の投与を検討するのが妥当ではないでしょうか。
ただ、この記事と逆に、間違いなく統合失調症の診断が下り、薬が必要な症例であっても、親が抗精神病薬の投与に同意せず、悲惨な進行を遂げる統合失調症の症例もあるので、その点は悩ましいところです。
医師も親との話し合いをしっかりするべきなのでしょう。
慢心せずに謙虚に素直に学ぶ姿勢は、人間にとって、医師にとっても生涯において必要なことと思うところです。
※きょうも最後までお読みくださいまして感謝もうしあげます。何かしら参考になることが有りましたら下のバナーをポチッとワンクリックして頂ければ多くの方に読んでいただくことになります。
にほんブログ村 哲学・思想ブログへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 悩み・苦しみ・迷いへ
岩手県 盛岡市 カウンセリング うつ病 パニック障害 自律神経失調症 アダルトチルドレン DV 悩み相談 無料 奉仕 スピリチュアル