感情的な人

自分を改められない理由

これまで多くの人たちから様々なトラブルや悩みを聞き、様々な精神的疾患、肉体的疾患の相談にのってきたなかで突き当たる共通した障害がある。

それは癖(くせ)の繰り返しです。

癖とは心の傾向性であり、行動の傾向性のことをいいます。

自律神経系に作用する薬や向精神薬に依存して長期にわたり減薬、断薬できない人の場合も根本的なところではこの心の傾向性(癖)が大きな妨(さまた)げになっている。

傾向性(癖)は、思ってはいけないことを思い、苦悩し、自分に嫌悪してみたり、健康になるため飲食してはいけないものをやめられず摂って体調を改善できないなどがその代表的なところである。

心の癖(傾向性)と行動の癖の背景には見栄(虚栄心)や嫉妬(しっと)や抑圧された心、我慢、傲慢(ごうまん)、頑固、などの自我(エゴ)、執着が潜んでいるものですが、心の改善に必要なことは決心勇気と小さな努力の積み重ねだけです。

これらはみな本能、感情、知性、理性偏った心のバランスから発生しています。

なぜ悪いことをした人が反省しにくいのだろうか。

なぜ怒りを改めることができないでいつも同じところを右往左往しているのだろうか。

善いことをしたら善い結果が出てくるし、悪いことをしたら悪い結果が出てくるという原理原則ぐらいは大抵の人が知っている。

知っているのになぜ悪い事をする人がなかなか絶えないのか。

相変わらず自分の心の怒りを直すことができないのか。

それは悪い事を思っても、悪いことをしてもすぐには悪いことの結果が出て来ないからです。

悪い事をしたらすぐにでも、あるいは次の日に悪い結果が出て来るというのであれば反省する事も早くなるであろうが、自分が改める気がなかったり、隠したり、口をつぐんだりすれば誰もわからないから悪事は連続してしまう。

二人の子供が連続して骨折する怪我を負ったケースがあった。私は家族の夫婦仲、ご両親の不仲を確認したらまったくその通りであった例がある。数か月前まで家の中は非常に不調和であったことが解明された。

不調和から怪我という結果が出るまで数か月後や、数年後という場合があるものです。

原因結果のサイクルは早い場合は数か月後、3年、5年、7年と大きな流れがあるから、善いことをして善い結果が出て来るのは3年、5年、7年周期律であるし、悪い事をしてもその結果が出て来るのは3年、5年、7年の周期律であるから、悪い事をしてもすぐ結果が出てくる訳ではない。犯罪を犯して現行犯逮捕などのような話はここでは問題外です。

仕事をしても信用を得るまでは3年かかるところから昔の人たちは『石の上にも3年』といって精進することの大切さを知っていた。

大抵3年も経つと、特にその日その日の行き当たりばったりの生活をしている人ほど、3年前にどんな事をしたかも忘れてしまっている。

既に悪い事をしたという記憶もなくなっている頃に、3年前の悪い結果がポコッと出て来るものだから、何も悪い事はしていないのに偶然にポコッと悪い事が起こったように感じてしまうのです。

よく言われる「忘れた頃に災難がやってくる」と言われるのもそういうことからです。

この世に偶然と言う事は何一つないのですが、それはその原因を自分がつくったことを忘れている為に、偶然のように感じられることだけのことだけなんです。

人間は一日のうちに善い事、悪い事、色々な事を思う。その思ったことの一つ一つがみな結果として即座に出て来るとしたら、この世に幸福な人は一人も居ないということになる。

仏教的にいう如来とか菩薩といわれるような段階の人になれば別として、それ以外の多くの人は善い事悪い事など色々な事を思う。

一つの原因に対しては必ず一つの結果が現われてくるというのであったら、とてもこの地上の人生はたまったものではない。

外面からはどんなに、謹厳実直で、聖人だと見られている人でも本能があるからきれいな女の人を見て欲心を起こさなかったと言う人はないであろう。

悪に関しては本来は「心に思うこともいけない」のですが、まだまだ私は程遠い。

特に若い頃の私はそうであった。常に清浄でありたいとする自分と、内心の醜さとの葛藤に悩んだものです。

この善悪二面の自分の人間性に大いに悩む人が真に真理(宇宙の法則と人生の極意)を求める資格のある人であるといえる。

心で悪い事を思っても、思った通りの悪い事が必ずしも出て来ないのは、人間には反省するという心(知性と理性の総合された心の働き)が与えられているからである。

しかし、反省しない、反省できない、それを実践できないという人は知性、理性の働きが鈍いか、感情が強いか、欲望が強いか、知性と理性がない人である。

だから、そういう人を感情だけで動かされる感情的な人という。

「あ~悪かった。すまない。」と言う反省、悔い改めの心から行いがあれば悪い事が起こって来るという運命は修正出来るのです。

この色々の人生の出来事を反省する事が出来るような目覚めた心を持つようになればなるほど、心の力で運命を変化改善させる力は拡大されて来るのです。

家庭内の夫婦関係も他人との付き合いでも、社会でも感情を先に出してしまう人は必ず相手の怒りを誘いやすくトラブルが絶えない。

自分が正しいと自己主張する人も問題を起こす。

これまで何度も申し上げてきましたが、偏った気持ちで冷静さを失っているときに自己主張すると、即座に問題が発生しなくても後々に悪いことが現象化してくるから改めなければならないのです。excuse me(ごめんなさい)を人前でもいえることも大事です。