″よい子の破綻″

勉強が出来て、しつけも行き届いた自慢の子が、突然、学校に通わなくなったり、自室に閉じこもってしまう、いわゆる“よい子の破綻”
原因が分からずに苦しむ親が多い中、研究者がその多くに共通する問題として注目しているのが、親による「やさしい虐待」だ。
一般的な児童虐待は、暴力や暴言などで直接子どもを傷つけるものだが、一見こどもにはプラスに思える教育やしつけも過度に押しつけると、こどもをがんじがらめにし、虐待と同様に心を蝕んでいくという。
「やさしい虐待」によって損なわれたこどもの心や親子関係をどうすれば修復できるか?その模索を見つめる。という内容でNHKのクローズアップ現代で放映されていた。
わずか30分のこの番組から感じたキーワードは、しつけ、教育、心、抑圧、愛、親子関係といくつかの大きな課題が見えてくる。
私もこれまで不登校の子供たちや親と話しあう機会を得ていつも行きつくところは決まって家庭環境のなかでの親子の関係である。
いつの時代も親は子の将来を案じて豊かに幸せに暮らすことを願う。それゆえに厳しく躾け、教育をし、習い事を強要することになっていく。幼少の頃は素直に親の言うことを聞いていた子がいつしか言うことを聞かない子であったり、反抗したり、拒否したり、言葉さえも交わさなくなってくる。
そんな子に親はますます厳しくあたることになっていき、やがては学校さえも登校しなくなる。
これまで子供たちが話してくれた内容は様々。『お母さんは立派なことを言うけどおかしい』この言葉の背景には強要するお母さんの言行不一致に対する不満の思いが隠されていました。『お父さんは怒るだけで本当は心配なんかしていない、僕なんかいない方がいいんだ』この言葉の背景には父への渇愛、愛を求める12歳の少年の叫びがあった。
子供たちとやり取りするなかで浮き彫りになってくるのは子供自身に原因があり問題になるケースは少なく、根本的な原因として親との関係に起因するケースが多いということ。
躾け、教育、習い事に夢中になりすぎるあまり躾けではなく押し付けになっている。  子供たちに強要する親御さんの言葉は実は自分たちが子供の頃にお父さん、お母さんに言われて強要されていたことだった。
躾や教育の名を借りた『優しい?虐待』であったのです。現在、不登校や引きこもりをした子供たちが大人になって子供をもったらまた同じことを繰り返す可能性は大きいだろうと懸念する。
正しい愛を頂けない子は何らかのサインを出す。大人になっても社会に順応できないケースもありまた自身も親子関係につまづくことにもなる。
子供を育て教育する。躾をするということに過ぎては子供の自主性や愛を知らない成長をたどることになりかねない。親の価値観をストレートに子供に向けることで心の触れ合いを欠いてしまい取り返しのつかない状態まで至った例は多い。
失ってみて初めて大切なものに気づかされるのも人間ではあろうが、効率主義に偏重した親の価値観での押し付け教育、躾け、習い事は子供の心だけではなく親自身の心まで蝕んでしまうこと。結果、家庭崩壊もあった。
生れたばかりの我が子におっぱいをあげているお母さんの笑みは無償の愛に満たされていたはずである。若いお父さんはそんな妻と我が子を見て力が湧き大きな愛で守ると奮起したものでしょう。
押し付けは愛ではない。支える愛を思い出していただきたいと心から願う。

未分類

Posted by kansindo