心のメタボ
現代に生きる私たちは、モノや組織や社会など、さまざまな事柄に囚われながら生きています。
物欲、出世欲、悪事への誘惑、嫉妬、執着などの禅でいう煩悩にがんじがらめにあっているわけです。これが心の肥満でありメタボです。
肉体的なメタボには異常なまで気を使い、食べ物や運動など、お金を使ってまで何とか痩せようと努力するのに、心のメタボについてはあまりにも無頓着です。これでは本当の幸せを実感できるはずもありませんね。
そんな生活も禅を少し学び、取り入れることで、豊かさを感じるようになってきます。
禅はインドの達磨大師が中国に伝えたあと長年にわたて育てられて日本に伝えられてからは、鎌倉、室町時代に興隆し、今日まで脈々と伝えられています。
禅の特徴は、『文字や言葉に囚われることなく、今、ここに生きる人間の心そのものをテーマにする』ということで、『本来の自己と出会う』ことが禅の目指すところです。
つまりまったく形を持たず、心の問題を扱う精神的なもので、哲学でもあります。
人間がこの世を生きていくための根本的な心の在り方を教えていると言えるでしょう。
自分を徹底的に見つめ、他人の価値観に振りまわされないように、そして余計な悩みを抱えないように、無駄なものをそぎ落とし、限りなくシンプルに生きる。それが禅精神の生き方です。
目指す心は一点の曇りもない心を見出すこと。覚者の眼から観れば『この世に存在するもの全ては仏性をもち、真理の丸出しだ。』と映ります。
この高く深い真理を体得すること、それが禅そのものであり、その心を日々の暮らしのなかに少しでも生かすことが禅の目指すところです。
この素晴らしい禅の教えを是非、生活に活かしてみてください。難しく考える必要はありません。
先ずは、手放すことから始めてみましょう。私たちは物事がうまくいかないと、『何かが足りない』と思ってしまいがちですが、今の状況を変えたいなら、『得る』よりも『手放す』ことが先決です。
そしてこのことが原点に立ち返らせて、見失っていたものを確認できることになり、結果的に状況を変え、困難を乗り越えていくことになるものです。
執着を捨てる。思い込みを捨てる。持ち物を減らす。心と体の荷物を捨ててシンプルに生きることです。メタボは体だけの問題ではなく心の問題でもあるのです。
涙を流した後は、心がスカッと晴れるもの。心が洗われて、また頑張ろうという気が湧いてくる。
手放した瞬間に、新たに入ってくるのは『豊かさ』です。『気づき』の瞬間です。
物をたくさん持つのが自由ではありません。
大切なのはモノを自由に生かす心をもつことです。
そして無駄にしない。使い切ること。そういう習慣を持つことで心は美しく磨かれていきます。
禅の美とはシンプルであることの美しさです。生活も心も、不要なものを徹底的に削ぎ落としたところに美しさがあります。内面から輝く美しさは心からにじみ出てきますが、禅はそれを育てます。
まるで一輪挿しの如くです。如何なる時も心を自由にしておく。
いま為すべきことを只、無心に行うこと。
無心とは囚われずです。
これこそが禅の境地です。
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